途方もない

考えたことについて書くブログ

ずっと着物嫌いだったわたしが、着物を好きになるまでの話

 今、わたしは着物が好きです。

職業も、着物を着てする仕事を選んでいます。

着物を着たくて自分で着るようになって、まだ2年しか経たない(もう2年も経った、とも思う)者です。

 

ちなみに格の高い着物なんて一枚も所有していないし、

もっときちんとした着物愛好家の人(そういうお方たちとほぼ付き合いがないので表現があいまい)からすればわたしなんてとてもても。

プライベートで着ることだって、言うほど多くもないのです。
そのくらいの「着物好き」なんですが。

可能な限りこれからも、マイペースで着続けていきたいと思っています。

 

今回は、着物なんて30才を過ぎるまで嫌いだったわたしが、

どうして着物を着るようになったかを書きます。

「着物着てみたいなー。」と思ってる人へ、何かの参考にでもなれば、嬉しいです。

 

着物に興味がなかったけど、洋服もさほど似合わなかった自分

もともと、着物に興味はありませんでした。
というかファッション全般、普段着にもお出かけ着にも関心が薄かった。

学生時代は小劇場の舞台の裏方をやってました。
役者さんの衣装は大事だと思っていたけれど、
自分を飾ることに手間を掛けたいタイプではなかった。

服選びはただ、周りにダサいと思われないことと、着心地がよいこと、その2点だけに気をつけていた。

 体型は小柄で、足が太く短めで、二の腕が太い。顔面は地味で一重まぶた。

そのせいなのか、メジャー路線のおしゃれ服がどうにも似合わなかったので
やや変わったデザイン(奇抜まではいかない)の服を好んで着ていた。
まず服に目がいくので、体型やらなんやらをごまかせると思っていたのでしょう。

学生の時好きだった服装は、民族衣装っぽいワンピース(チチカカなんかで売っている)にパンツを合わせるようなの。
社会人になってからは、ナチュラル路線。激務で色々めんどうになり思考停止気味に。
あらたまった席ではワンピースと襟なしジャケットを合わせるなどして、切り抜けていました。普通のスーツもあまり似合わないので。

 

着物が嫌いだった理由

幼少期、着物はきゅうくつで怒られるもの

母、祖母は着物好きだけど、普段から着るほどではない、という家庭環境でした。

小さい時のわたしは七五三は着物を着せられ、夏祭りには浴衣を着せられてはいたけど、ほんとにその程度で。
行事ごとに手をかけて着物を着せてもらうことで、大事にされてるなぁとはうっすら感じたりしたけれども、
全部親の決めた着物で、とにかく洋服と違って動きづらいし、
正直、面倒なしろものだとしか思わなかった。

普段から着物を着る人を見てないからか、自分が着ていて似合ってるのか似合ってないのかも見当がつかない。
シミをつけたりすればとても怒られるし、だんだん着物が嫌いになっていった。

 

10代~20代前半、着物はとにかく面倒で重たく、古臭いと思った

まあまあ成長してからの着物を着る機会として一般的なのは成人式のような気がするけれど、

わたしは成人式に出なかった。

そしたら「せめて大学の卒業式では振り袖を着ておくれ」と親からの希望が寄せられた。

たいそう面倒くさかったが、断るのもまた大変なので着ることにした。

 

しかし、その卒業式もあまりいい思い出ではない。

振り袖は母の若いとき着ていたもので、なにやらすごく思い入れがあるらしいけれど、
着物は大事に大事にしまい込まれていたせいで、わたし自身はほとんどまともに見たことすらなく、
紅白の鶴が何羽も舞っているおめでたい柄、そういうのを見慣れぬせいで余計古くさく見え、しかも振り袖なので重量的にもずっしりくる。
いろいろ重たいなぁ・・・と感じたものだ。
完成した着付けは窮屈で、トイレもいったいどうやればいいのかおぼつかない。不安しかない。

当日、美容院の着付け師の人に借りた帯揚げがスカイブルー色で、その色を持ってくるか、イヤだな、と思ったり。
*1
しかし、帯揚げのなんたるかも知らずに当日を迎えてしまったこっちが悪いわけです。

実家から一時間以上かかる大学に着いた瞬間、既に疲労してふてくされ、ブスっとしながらサンドイッチをかじっていた覚えがあります。(食事をとるのも大変)
そんな感じだったので、その後の写真館での撮影も推して知るべし。
できあがってきた写真の顔は疲れ果ててひきつり、それはひどいものでした。

まあとにかく、母にすれば「娘は着物に興味がないのだから大人しく着てくれるだけで十分である」と思って一日じゅう
必死でなだめすかしながらつきあったのでしょうけど、二十歳超えて朝早くから夕方までそれだけのことを強制されるのは、だいぶ厳しかった。

今思えば、事前準備などもっと楽しくやりたかったし、すごくもったいないことをしたなと思います。
だけど、この卒業式でよけい着物が嫌いになったんだよなー・・・

振り返って思うこと

着物は、色合わせが独特で、事前に自分に似合うかどうか、身につけるものをひとつひとつきちんと選び、本人も納得しておく必要があったのだということ。
それは洋服でも同じですが、着物のほうが着る習慣が身についてないぶん、想像がつきにくく、より難しい。
着物、帯、帯揚げ、帯締め、足袋、襦袢、草履…

全部、一回畳の上に並べて、姿見で自分を見つつイメージしてみる、くらいはしないといけなかった。
それから、動きに馴れていないと式典に出るのも一苦労なので、事前に着ておけば良かったのです。
成人式などでは前撮りといって、式典とは別の日に、写真撮影をするために着物を着たたりするんですね。動きも慣れておけるし、丁度いいシステムだと思います。
わたしの場合は、写真撮影もその日にやったので、ものすごい疲れた。

 

着物がだんだん好きになってきた

結婚がきっかけになった

30才で結婚しました。
結婚して1年目の夏、夫の実家のほうで夏祭りに行こうとしたとき、
義母が浴衣を貸してくれて、着せてくれることに。

(浴衣すら、自分のを持ってなかった)

今まで着たことのないような、明るい青の地の浴衣。
かすかに緑がかった、クールすぎない青で、なかなか気に入りました。
黄色の帯がよく映えていて、2人で縁日を歩くと、今までになく夫が褒めてくれたので嬉しかったしびっくりした。

「和服が似合う」と初めて言われ、自分でも「あれ、そうかも」と思った。

地味な顔立ち、日本人体型など、自分の好きではなかった部分が、着物だと幾分良く見える。

自分を理解している人から「似合う」と言われると説得力があった。

 

着物を素敵に着る人が身近にいると、着物の勘が養われてくる

そのころ、日本料理屋さんで働いていました。
年輩の女将さんはいつも素敵な着物姿で丁寧に接客していらして、人柄もとても良かったのですが、

一緒に働いているうちに、自然と着物の美しさを感じていったのです。

初めてはっきりと意識したのは夏。
その日の女将さんは藍色の薄物の着物を着ていました。
夏着物ってやつで、光の加減で着物が透けて、着物の下に着ている明るい色の襦袢がうっすら見えたりするのです。
女将さんが動くと、その透け加減も動く。
なんて涼しげで、いいものだろうと思いました。

四季を通じて、上品で粋な着物を着ていた女将さんを見ていたことは、少なからず「着物を着たい」という気持ちをおこさせることに影響があった。
本当に「素敵なものだ」と思えてなかったら、今着物は着ていないかもしれません。

着物の魅力は、素敵に着る人を近くで見ることでわかってくる。

 

移住と転職のおかげで、着物を着る人になった

都合があって、夫とともに遠くへ移住する事になったのが、今から2年半前のこと。

新しい職を探さなくてはならず、日本料理の仕事が好きになっていたわたしは同じような仕事を探すことに。
どうせやるなら、今までよりも格の高そうなお店に挑戦してみようと思い、探したのが料亭。
今度は接客する全員が女で、着物着用が必須。

着物にも興味が出ていたのでちょうど良いと思いました。
まず最初の仕事は、自分で着物を着られるようになることと言っても過言ではない。
結果、2ヶ月くらいでなんとか着れるようになり、1年も働けばだいぶ着慣れて、着崩れも余裕で直せるようになった。

平行して、休みの日にはリサイクル着物屋に行って気に入った着物を見つけ、自分の着たいように着物を着て、出歩いたり。

楽しかった。
映画、美術館、古い日本庭園や日本家屋など、もともと好きだったところに着物で行ったら余計楽しい。
練習のために自宅で着るだけでも楽しい。
お正月、自分の実家へ帰省するとき、着物を着て実家に帰ってみたことがあるけどそれも楽しかった。

 

着物を着るようになると、自分への評価も変わってきた

「自分に似合う服ってよくわからない」という悩みがずっとあったのだけど、
30代半ばにさしかかり、これからどんな服を着ればいいのか余計わからなくなってきていた。
だから、着たい服がある生活というのは心地よい。
今後、もっとハマれば、冠婚葬祭、式典などでの和装も夢ではない。レベル的にまだ無理だけど、あこがれます。

もちろん洋服も着る。どんなに和服に慣れようが、動きやすくて楽なのはだんぜん洋服ですから。

それでも、和服を着ると落ち着いて、スーッと気分が良くなります。
わたしの体型の悩みである低身長は和服においては問題にならないし、足の太さは隠れるし、自分の今までのコンプレックスにも変化があって驚きました。

洋服と着物って、かなり違うんだなーと。当たり前かもしれませんけど。

まだまだ経験不足だし、手持ちの和服アイテムは限られているけれど、少しずつ充実させていきたいです。

着物は洋服とまったく違うので、自分を新発見できるチャンスになる

 

まとめ

わたしの場合、こんな感じで着物好きになって行きました。
若い頃のイヤな思い出なんかも書き出してみてスッキリしたし、
後悔もあるけどその分これから着ていけばいいんだな、と思う。

着物って昔とちがって、今、生活していて理にかなってるとは言えず、
がんばって着ても、周りの人から「なんでまた、わざわざ」という反応もあることでしょう。
でも、道ばたで知らないおばさんに褒められたり(結構ある)、
夫にいいねって言ってもらえたり、
母に「娘と着物の話で盛り上がれると思わなかった」と喜ばれたりもして、
いいこともあります。
普段と違う気分になれるし、
ちょっとでも着てみたいと思う人はやってみてほしい、と思います。

今、リサイクル着物屋さんも多くて、リサイクル着物というものが着物初心者だけではなく、広く定着しているようです。
わかりやすい着物の指南書なども、多く出版されている。

和服を着る動機も、どんな風に着たいかも、それぞれ違っていいはず!

 

気軽に着物を始める方法とか、また別記事で書いていきたいです。
わたしも初心者なので、勉強したことをその都度書くような感じになると思いますが。

きょうはこのへんで・・・

ありがとうございました

 

水鳥まほ

*1:帯揚げとは、着物に巻いた帯の上にちょこっと見える布で、面積は少ないながらも結構目立つもの。